ドラゴンクエスト2 (ファミコン) エニックス
ネタバレ度100%。注意。






――――――13年前。



店員>非常に申し訳ありません、ただいま『ドラゴンクエスト2』は品切れとなっております。

悲劇はその一言から始まった。焦燥感を少し感じて違う店に行ってみる。

店員のオヤジ>あー、ドラクエ?ウチは予約販売だけだから。ゴメンなー?

少年ともの目にはうっすらと涙が浮かんでいた。・・・・次が最後の店だ。

店員>
品切れで御座います。今から予約いたしましても、次の納品は2週間後に・・・・






店員の話も終わらないうちに、少年ともは走り出していた――――――

母>あら、お帰りなさ・・・・・・・

ただいまも言わずに、少年ともは自分の部屋に閉じこもってその日1日中泣きはらした。晩御飯も食べなかった。




―――――――次の日。




学級内は当然のようにドラクエ2の話題で持ちきりだった。


『サマルトリアの王子がみつからネエよー』
『軍隊アリってさ、仲間呼ぶんだぜー!!』
『敵が「ひのきの棒」落としたんだけどさ、あれって絶対何か秘密があるよなー』
『あ、とも!ドラクエ2どこまで進んだ?』


と>買えなかった。 (凄まじき絶望感の中ランドセルを椅子に引っ掛ける少年とも。)

男子A>え!?ウソ!?ダッスェー!!何で?何で?予約してなかったの?カワイソー!!

男子B>だから言ったべー。予約しなきゃ絶対買えないって。あーあ、ドラクエ2、スゲエ面白いぜー?

女子A>そう言えばさ、とも君昨日●協の前を全速力で走ってなかった?

当時ともが好きだった女の子>絶対あれはトモくんだったって!何か、泣いてたみたいだけど・・・

男子C>プププ。そりゃ間違いなくともだな。生●に買いに行くって言ってたもんナー。

男子A>でもさー、それくらいで泣くなよー。ガセエ(注:ダサイの意。)なー。な、そう思うだろ?

女子A>え?う、うん・・・・ね、どう思う?

当時ともが好きだった女の子>とも君て案外子供っぽいトコあるんだね。何か、いがーい。
くすっ

とも>(!?)

男子C>わかったヨ・・・とも、今日遊ぼうよ。ともんちにドラクエ持ってってや・・・・

と>もうほっといてよー!!! ←好きな女の子に笑われたのがショックで教室を飛び出す少年とも。




・・その日の下校時。ともはいつものように友人Yと家路についていた。


Y>あーあ、今日宿題多いんだよなー算数なんて、ドリル5ページ分もあるし。めんどい・・・

と>あー、じゃあ一緒にやろうよ。帰ったらYの家に行くから。(←諦めがついて元気が出てきた少年とも)

Y>いや、宿題は夜やるわ。今はドラクエやりたいか・・・・・
あ!!!!

と>・・・。

Y>わ、ワリ。(シマッタ・・今のともには禁句だった)

と>いや、いいんだ。ばいばい。(トボトボ)

Y>あ・・ばいばい・・(あー、せっかく気をつけてたのに・・)

と>( ・・ひどいや。)


ともの脳裏に、発売を楽しみにしていた日々が蘇る。


後1ヶ月。●ァミマガの切抜きを眺めながら、友人とどういうストーリーになるかを予想しあう。
後2週間。寝ても覚めても考える事はドラクエ2の事ばかり。
後1週間。復習とばかりドラクエ1をはじめる。
後3日。胸の動悸が納まらない。
後1日。母親から購入資金を貰う。明日が待ち遠しい。
当日。学校が終わると●協へと走る。途中で一足早くゲットした友達と会い、笑顔でアイコンタクト。
夢にまで見たドラクエ2がすぐそこまで・・・・それは少年の小さな胸には納まりきれないくらいのでかい期待だった。





『ど、ドラクエ2!!ください!』(ドキドキ!!!)




『非常に申し訳ありません、ただいま『ドラゴンクエスト2』は品切れとなっております。』




と>・・・。(あの店員さんの言葉は、きっと一生忘れないや・・あ、そうだ。へへ、母さんに貰ったお金、返さなきゃ。怒られちゃ・・)




じわ。(涙ぐむ少年とも。今のともからはとても想像できないくらい純粋なBOYだった。)


と> (ちくしょう・・悔しいよ・・ドラクエ2、やりたい・・)


ともは家に帰ると復習ではじめたはずのドラクエ1をちんまりと始めた。

レベルは既に最高レベルの30だった・・・・




次の日の放課後。


Y>しっかし寒いなー早く雪が溶けて野球が出来るようになりたいよなー?

と>・・・。

Y>とも・・? (今日はずっとこの調子だな・・)

と>え!あ、うん、そうだね!!(いけない・・またぼんやりしちゃった。)

Y>とも、元気ないね。

と>そんな事ないよ。ドラクエ、何処まで進んだの?

Y>え・・レベル10だけど・・

と>へー。もう、仲間出来た?んー、やっぱり面白いんだろうなあっ!くう〜!再発売が凄く楽しみだよ!(ゴメン、気を使わせちゃったね?)

Y>う、うん!やっぱり凄く楽しいよ!早く再発売するといいな!!(いつものともだ・・元気がないのは気のせいだったかな?)

と>うん!あ、じゃあここで。ばいばーい!!(やっぱり凄く楽しいよ!やっぱり凄く楽しいよ!やっぱり凄く楽しいよ・・)←Yの言葉がリフレイン




・・・『やっぱり凄く楽しいよ!』





Yの言葉が頭から離れない少年とも。いつもは友達と遊びに来る公園で独り佇む。


と>仲のいい友達はみんなドラクエやってるだろうし・・ぼく、いつまで独りぼっちなのかな。

いつもはみんなで仲良く食べているうまい棒も、さほど美味しく感じられない。
一番好きなはずのチーズ味も、今日は何故か涙の味がした。


T>独りで何やってんの、とも。(泣いて・・いる。)

と>あ・・Tか。そうか・・お前ファミコンやらないもんな。・・一緒に遊ばない?

T>いいよ。(これからゼビウスやりにいこうかとおもってたんだが・・何か今日のともはほっとけないな)


Tの家で遊ぶ事になった少年とも。
そこで少年ともは、信じられないモノを見た。



と>!!?

T>ん・・どうした?

と>(あ、あの青いパッケージは・・間違いない・・アレは―――――――ドラクエ2!!)

T>ん?今日は本当におかしいぞ?何だっていうんだ?

と>
お前もか。(感情のない瞳でTを睨む少年とも)

T>ハァ!?(こ、この圧倒感は!!?本当にこいつはともなのか?)

と>ぼく、もう帰る。(いい。もうどうでも、いい。)

T>何を怒ってるのさ!ま、待てって・・おい!!

と>ドラクエ、やってたらいいじゃん。気を使わなくたっていいからさ。楽しんでよ。(ゲームやらない筈のTまで・・。僕、一体何を信じたらいいんだろ。)

T>ドラクエ?ああ・・・親父が買ってきたんだけどさ、何か急に転勤で単身赴任ってことになっちゃてさー。
  うちでファミコンやるの親父だけだか・・・・・

と>・・・。

T>な・・なんだよ。ともも持ってるんだろ?

と>いや・・・それが、買えなくてさ。うふふふ。一番騒いでたの僕だったのに、さ。カッコ悪いよね?

T>なあんだ。じゃ、コレ持ってけよ。誰もやらねえんだから。

と>っ!!?いいの?

T>あー。あってもしょうがないじゃん。帰りに持ってけよ。そんな事よりさ、暇だからなんかしようぜ?そうだな・・

と>ご、ごめん!!俺帰るよ!!

T>!?お、おい!!待てよ!じゃ、じゃあ俺は?・・・って既にいねえ。何て自己中野郎だ・・・


・・・こうして俺は友達の友情と引き換えにドラクエ2を手に入れた。
んん・・・思い返してみると何てムカツクガキだ(苦笑)
でもなあ、、当時周りにいるゲーム友達なんてほとんど手に入れてたからね。
クリアー一番乗りを他の奴に取られるなど 、
クラスの『ドラクエ委員長』だった当時の俺(マジでそういわれてた。その称号はクラスの男子の
憧れの的。少年ともはその称号を誇らしげにしていたものだ)のプライドが許すわけが無かった。
ライバルは多かったからな。1日半の遅れを取り戻す為、少年ともは狂ったようにモニターに向かった。


ドラクエ2をプレイしていた頃の事は今でも鮮明に思い出す事ができる。
まず最初に受けた衝撃は。
何と言ってもモンスターが複数で主人公(以下くえすと。くえすとは俺のドラクエシリーズを通しての主人公の名前である。)
に襲い掛かってくる事だ。
初めての敵はスライム二匹。
多分一生忘れない。


第二の衝撃は町にいる人や壁にぶつかってもあの不快な『ガンガン』という効果音が
ならない事。これにもかなりの衝撃を受けた。
今から思えばたいした事のないことでも、少年であった俺にとっては
ちょっとした変更点であっても感動したのだ。


・・・冒険は順調に進んだ。苦も無くサマルトリア王子を手下にし、銀の鍵を手に入れ、
ローレシア大陸からムーンブルク大陸へ(て言うのかどうかはしらないが)。
このへんから出てくるモンスターが急激に強くなってくる。集団魔法を使ってくるハエ。(名前忘れた)
やたらHPが高いゾンビ。(リビングデッド。多分)ラリホーがウザイ花。(名前忘れた何とかイーターだった気がする)
そしてあの
ヒヒだ。マンドリル。アイツも多分一生忘れないな・・・
何回ぶち殺された事か。何せ唯一の回復魔法が使えるサマルトリア王子(多分・・アーサーだった・・気が。)
がコイツに殴られると2,3発で昇天したものだから。


あのヒヒの脅威に比べたら
ムーンブルクの王女の呪いをとく事なんざ造作も無い事。
勿論王女(マリア。コレは鮮明に覚えている。間違いない。)に
淡い萌え心を抱いた事は言うまでもない。
どこかで俺の初萌えはマーニャだと書いた記憶があるけどマリアでしたね、実は(微笑)


さてロトの末裔が3人揃うとフィールド上で流れる音楽が変わりますね。
まあ多分コレ読んでる皆さんそうだと思いますが・・・・・
感動しましたよね?「ほう」と一瞬固まりましたよね?
今でも口ずさむ事が出来ますよ、あのメロディは。もう13年も前の事なのに。
素晴らしい曲だよ。
つい最近やったはずのドラクエ7のフィールド音楽も早々と忘れたと言うのに。5も6も忘れてるな。
FFは・・・・あかん、全部忘れとる^^;
何でかなあ?俺の記憶に障害が無いとすればまあそれだけ
当時は一生懸命ゲームをやってたって事か・・・・・楽しかったものな・・。


さあ役者が揃ったくえすと一行は風の塔で風のマントを手に入れ、新しい土地へ。
港町ルプガナだったかな。そこで女の子がモンスターに暴行するシーンに出くわすわけだ。
(何やら変な妄想をしてしまう今の自分が少し悲しく思えてしまったり。)
グレムリン一行。結構苦戦はしたが撃破する。そしてお礼と言って船を手に入れるわけだ。(ホント良く覚えてるな。)
その女の子にも危うく萌えそうになりながらもくえすと一行は海路に出ることとなる。


ドラクエシリーズ初の海の旅路。
(まだ2作目だろうという突っ込みは却下。)


これも感動だったねえ・・・。ドキドキしたよ。
少年ともが受けた感動は青年ともの脳裏に今も焼きついてるよ・・・
海に出て早々にしびれくらげのマヒ攻撃で全滅喰らった事も。
其の後デルコンダル城に乗り込んでキラータイガーに文字通り瞬殺された事も。
懲りもせず遠出しすぎてホークマンとバピラスにブチ殺された事も。
今となってはいい思い出だよなあ。何でこんなにも鮮明に思い出す事ができるんだろう。
別に回顧主義ではないはずだけど何だか昔を思い出したら切なくなってきたなオイ。


まあそれはいいとして、次は・・・そうアレフガルドに行くんですよね。
当時はドラクエ2の中にドラクエ1が全部すっぽり収まってやがるとやけに興奮したものだ。
そして竜王の城へ行って竜王と100年ぶりの対峙。


さあこれから激しいバトルが始まる・・と3人全員の体力を満タンにしたのは俺だけではないはずだ。(断言)


しかし予想を裏切ってやけにフレンドリーな竜王たん。
最近台頭してきたハーゴンがナマイキだから代わりに退治してくれだと?
てめえがヤレ。と言うわけにもいかず五つの紋章を探す事となる。


とある塔でグレムリン四匹パーティーを惨殺してまずは星の紋章をゲット。
デルコンダル城でキラータイガーにリベンジ。何か(忘れた)の紋章をゲット。


・・・ここで手詰まり。うーんしょうがないから金の鍵でも探すかつうことで孤島のザハンの町へ。
アサーリ鍵ゲット。
各地の宝物を強奪してさあまた詰まったぞ。


しょうがないからブラリ船旅に出る。すると水門がある町を発見。どうやら水門を開く鍵が
どこかの盗賊に盗まれたらしいと言う事で新たな目標が。
さあ何処にいやがる。・・何処にいたっけ?アラ・・思い出せない。
多分記憶が間違ってないなら金の鍵が無ければ入れない町にいたはず。


その町に・・ある歌姫がいたのを皆さんは覚えているだろうか。
そう。牧野アンナだ。当時ドラクエ2のイメージソング(『追いかけてラブソング』違うかもしれないがそんな感じのタイトルの曲)
を唄っていた牧野アンナ。うわー懐かしい!!その曲持ってたよ!!
結構可愛い子だったな・・・・いい曲だった、好きだったよ・・・・


うわー・・・・




アンナさん、今何やってるんだろ・・・結構心配だったりする。
んな事はどうでもいいか。
話によれば水門の鍵の強奪犯はこの町の牢につながれているとの事。じゃあ話は簡単だと余裕の表情で牢屋に向かったはいいが・・・
いない。いないじゃないか。どっかで手に入れた(いい加減)牢屋の鍵を使って全ての床を調べて回っても
何の手がかりも無い。
んー困った。其の時ふと思い立って壁にブチあってみる。・・・・そこにいたかクソ野郎。


―――思えば少年ともは異様に勘が良かった。(ゲームに限る)
級友が2,3日は掛かった金の鍵やこのナゾを研ぎ澄まされた(ゲームにのみ)カンであっさりと解いてしまうウ。
ここに『ドラクエ委員長』と呼ばれる所以があった。
この当時はこのお陰でいい思いをしたものだ・・・・・
解けずに困っている級友にうまい棒数本や掃除当番の代わりを条件に得意げに教えてやるのは
小学生の時分ではもう英雄気分。
運動会の季節と大作ゲームが出る時期の少年ともは王様そのものだった。


・・・いい時代だった・・・・なぁ・・・(さめざめ)


その後の旅も快調そのもの。
紋章全てを手に入れルビスの守りも手に入り、後は魔王の住まうロンダルキアを目指すのみ。
このとき予期せぬ事が少年ともの身に起こった。


「ふっかつのじゅもんがちがいます」


ドラクエ初期作最大の敵、復活の呪文の写し間違えだ。


心臓が縮まる思い。

ここまで勉強宿題ほったらかしでそろそろ母ちゃんの目線もキビしくなってきてると言うのに

クラスのライバルも徐々に追いあげてきていると言うのに

ここまで来て振り出しかい


しかし少年は冷静だった。焦る気持ちをムリヤリに押さえつけ復活の呪文を凝視する。


と>この「ぬ」は・・・「ね」の間違では無いだろうか?


またも少年とものカンが炸裂する。最大の危機を突破。


と>ふぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・・


その時飲んだファンタ(フルーツパンチ味)が緊張に渇いた喉を潤した時の快感といったら・・・・・・


話を戻してロンダルキアの洞窟。




少年とものゲーム歴史上最大の挑戦が始まった。





考えてみるとこのロンダルキアの洞窟の難易度の高さはとんでもないものであったと思う。
幾度、この高い壁に跳ね返された事か。


恐らく30回は死んだ。


確かに無限スクロールの回廊も曲者ではあった。
しかしこの洞窟がドラクエ史上最大の難関であると言われる所以は
何と言っても出現するモンスターの凶悪的ともいえる強さだろう。


特に俺の場合はあまり詰まることなくここまで来たし
何より戦闘は逃げてばかりであったからなんつってもLVが低かった。
しかしLV上げをしている間に級友が先にクリアしてしまうかもしれない
そんな強迫観念とも言える不安が
あの執拗とも言えるほどのチャレンジ精神を呼び起こしていたのだろう。


しかし死んだ。それにしても死んだ。
それでも体中を汗ダラダラにして喉をカラカラにして
正に勇者の誇り高き不屈の精神が体に乗り移っていたかのように
少年ともは歯を食いしばって幾度も挑戦した。


全ては5年3組のベストドラゴンクエスターの地位を守るが為であった。
必死だ。もうそれは既に遊びの範疇を超えていたような気がする。
冗談抜き、誇り高き、至福の時間だった。


そのあまりにも場違いな緊張感は
やがて母親や姉にまで伝染してしまう。多分俺の余りの真剣さにふたりも圧倒されていたんだろう。
何時もは「ゲームにそんなに熱くなって」とからかうふたりもその時ばかりは息を呑んで俺の挑戦を見守っていたような気がする。


バーサーカ。首狩り族の上位種。何回狩られたことか・・・・
メイジバピラス。ラリホーウザイって。唱えられる度に心臓止まった。
キラーマシーン。極悪。
シルバーデビル。メガンテ反則だって(涙)


しかしそれらを遥かに凌駕する好敵手、いや悪魔がいた。
さあ皆思い出しましょう。アイツです。そう、アイツ。
もう少しと言う所では必ずソレが立ちふさがった。
恐らくロンダルキア戦役の敗因の7割はこいつだと思う。
そいつへの遭遇そのものが死の予感。
恐怖感、焦燥感、絶望感、畏怖の念すら抱く存在、それは・・・・






ドラゴン×4。


んー書いてたら思い出してきたぞ其の時の死闘を!1匹や2匹なら何とかなる。
でもこいつらが4匹パーティー組んできたら100%敵前逃亡!!
強いのなんのコイツ等・・逃げるの失敗したらまず間違いなく4匹
集中業火!
それでアーサーとマリアは瞬間焼死!こいつ等の前に何回煮え湯を飲まされた事か。


それでもチャレンジ30数回目。やっと無限回廊で階段を発見!




少年はそのとき、勇者くえすとになっていた。



続く

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