君が望む永遠 「遙」




はじめに

ここからようやっと本作の感想を書いていきます。今回はシナリオの展開に沿って語っていくので
ネタバレ度はやや高め。細かい所までバラすつもりはありませんがいかんせん話の大筋が分かってしまうので、本作をより少ない知識のまま楽しみたいという方は読まない方が良いと思われます。勝手言ってしまって本当に申し訳ないです。で、ここで本当に「じゃあ読むの止めよう」と思った方へ一言。その方は多分8割方購入に踏み切っている方だと思います。これは「買い」です。言い切ります。是非是非、プレイしていただきたい。これは想像以上の出来でした。







↓ここからスタートです↓















それではいよいよゲーム本編の話を進めていきましょう。
ゲームの序盤は白陵大学付属高校を舞台に主人公の鳴海孝之とその親友の平慎二速瀬水月(みつき)を中心に描いています。3人はとても仲が良く、正に性別を超えた理想の関係といったところ。序盤、この三人の微笑ましい会話は早くも私の心をキャッチしてくれました。


・・或る日、そのグループの中の一人である水月は本作のヒロイン、涼宮遙を主人公と引き合わせます。実はこの遥、主人公にずっと淡い恋心を抱いていた女の子だったのです。二人は徐々に親睦を深めていき、そして遂に遥はその想いを主人公に告白!主人公はそれをOKし、見事二人は恋人という間柄になるのでした。ここから本作の壮大なシナリオが動き始めるのです。


さあここからが熱い。なんと言っても二人は交際経験も無い高校生、その甘酸っぱさは悶絶モノ.。そしてそんな苦しむ二人を必死に応援するのが前述の慎二と水月。この二人がまたいい奴なんですよ。


そしてそんな二人の助力もあり、主人公と遙がようやっと恋人同士と言える間柄になったその時一章は終焉を迎え、OPデモと共にオープニングテーマの「Rumbling hearts」が流れます。




さて、このRumbling hearts。

アージュさんのOHPでダウンロードして初めて聴いたのが今から一ヶ月前。それ以降、その歌をあまりにも気に入ってしまった私はこの日までにそれこそ、耳にタコが出来るほど何回も聞きました。


「こんな素晴らしい歌が流れるんだ、それはそれはとてつもないOPデモになるに違いない」と、そう思いながら聞いていたものです。




だがしかし。




実際にそのデモが流れた瞬間の私の驚きといったら。
あの時の衝撃を何と表現したらよいものか・・


・・そのデモ、私が想像していた物とはあまりに懸け離れたものだったのです。いやデモ自体ではなく、流れる寸前の脚本が、何とも恐ろしいものだった。


それまでの二人が大変幸せであっただけにね・・二人が頑張って少しずつ、少しずつ築きあげていったその幸せがほんの一瞬で壊されたあの悪夢。こんなに震えながら見たOPデモなどセングラ以来でしょうか。まあ、それは冗談にしても、頭をハンマーか何かでガツンと殴られたような、そんな衝撃的な結末だったのです。




そのあまりの衝撃の為、私はそれがどんなデモであったのか全く覚えていない。ただ頭が真っ白になった、その事しか記憶に無いですね。


そしてそれから3年の月日が経ち、物語はいよいよ第二章(本章)へと突入する。


二章はプレイしていて心底辛かったです。一章であれだけ強靭な友情を誇っていたあの4(+1)人の関係がもうグッチャグチャ。恋は盲目とはよく言ったものだが、あそこまでシビアに見せ付けられてしまうと流石に胸が痛みます。高校の頃のあの、素晴らしい関係はもう二度と戻らないのかと、そう考えただけで痛い程胸が締め付けられた。


それに加え物事の善悪まで考えさせられる重たいシナリオ。まあ自分の優しさが必ずしもその人の為にはならない・・なんて事はザラですが、「ああいったケースでどんな行動をとるのが正しいのか、間違っているのか。自分を犠牲にする事が本当にその人の為になるか。だからといって自分本位のままではいつまでたってもその人を助ける事は出来ない。いや、そもそもその助けようと行動を起こす動機そのものが自分本位のものにはなっていないだろうか?いやいやそんな事は無い、自分の大事な人が困っているのだから優しさを与えるのは当然の事だ。あれ?これじゃ堂々巡りだ。そもそもどんな優しさが正しくて、そして間違っているのかそれすらも俺は判断がついていないな・・」




と、プレイ中に考え込んでは堂々巡りでクリック中断する事数知れず。しかもこんなに考えたのにも関わらず、はっきりとした答えなんて一つも出やしない。まあ筋を通す事は大切ですがね、そう単純に行かないのが人間の情って奴ですから。孝之にとって不幸だったのは最後の最後になるまで二人のどっちが好きなのかハッキリ出来なかったから。それさえ判っていればね・・あんなに苦しむ事は・・


私も相当優柔不断な人間なもので、この主人公にはかなりシンクロする事が出来ました。情けないけどそれがこのシナリオに没入出来た最大の要因ではないでしょうか。


しかし決断を迫られる時はやがて来る。二人の内、どちらかを選ばなければならない究極の選択肢だ。悩みましたよ死ぬほど。いや悩んだ大いに悩んだ。


だって二人とも好きなんだよしょうがないじゃないかっ!!ああ、俺は優柔不断だよ!悪いか!どっちかを選んでどっちかを・・・なんて出来ないよ!俺には出来ないっっっっ!!




現実でこんな選択肢には絶対に遭いたくないな。私なら気が狂う事間違い無し。・・しかし、これはゲームだ。やり直しが効くんだよ。あとは早いか遅いかの問題だ。そんなに悩む必要は無いぜ?と、何とか自分を誤魔化し、私はようやくの思いで一方を選んだ。するとシナリオはそれに合わせグングンと佳境に入ってくる。


選んだ方も苦しむ。選ばれた方も苦しむ。でもやはり一番辛いのは選ばれなかった人間に決まっている。振られたとはいえ主人公に対する想いは深まるばかりですからね、これは辛いだろう。そして危ない。その思いを一人で抱えきれなくなったその子は、やがて支離滅裂な行動に打って出てしまう。




本当に心が張り裂けそうだったよ私は





気持ちは分からないでもない。でもそれはあまりにも痛い行動だよ水月。


ここでどうにも居たたまれない気持ちになった私は思わず視線を落とす。これ以上進めるのがさすがに怖くなったのだ。単なる萌えゲーと勘違いしていたのがそもそもの間違い。こんなに苦しいゲームだとは想像もつかなかったんだよパパン。




はあぁ・・(溜息)



・・落とした視線の先に何かがある




それは今、最も見たくないものであった







本作、「君が望む永遠」のパッケージ


そのパッケージでは







水月が遙の首に腕を絡ませている。

仲睦まじい、高校の頃の二人だ。

それは、現況からはとても想像がつかない程に幸福な図だった。









T△T



モウダメダ





「あの本当に仲の良かった二人の姿を二度と見る事は出来ないのか」そう考えると、涙が滲んできてモニターが見えやしねえ。拭いても拭いても、次から次へと溢れ出て来やがる。


・・ふと時計を見やる。


時刻は午前5時。


・・こんなクレイジーな時間になっていたとは。


気づきもしなかった。考えてみれば15時間連続でプレイしていることになる。そりゃ精神も疲れるはずだな・・


私は気分転換も兼ねて朝焼けの町並みを散歩する事にした。就寝するという選択肢は勿論無い。


土手に立って朝焼けに彩られる川の水面を眺める。





よし・・

心は決まった。これから訪れる結末がどんなに辛いものであれ、耐え切って見せようじゃないか。


怖いけどな!


家に戻り、早速プレイ再開。


そして物語は終局を迎えた。



え・・結果・・・?



結果は「遙END」でした。

これ(↓)はそのED間近、ある人のセリフ。




「人間って・・面白いでしょう?」








頭から布団に突っ伏したよ。




苦しい道のりを歩んできた俺たちだから分かる、重みのあるこの言葉。


遙・・辛かっただろう。本当に辛かっただろう・・。いい子だね、君は本当にいい子だね・・優しくて、強くて・・う、うう・・




そして、水月。遙のシナリオでこう言うのもなんだけど、私にとってこのシナリオのメインヒロインは君だよ。一見気が強そうに見える君。・・だけど、実は凄く繊細な子なんだよね。「あの場面」ではそのあまりの辛さに、とうとう崩れてしまった。一番行ってはならないところに逃げてしまった。


だけど最後の最後に見せてくれた、あの勇気ある引き際・・

本当に見事でした。

良く我慢した。あそこに俺は、君のとっておきの強さと優しさを見ました。

でもな、俺・・一番最後の場面、あの病院の屋上で・・俺は君の「最悪の結末」を予想してしまったんだよ。自分が本気で情けなくなった・・ごめん、そしてありがとう。




最後を締めくくるクレジットではEDソングの「君が望む永遠」が流れます。


あの時の感動は、もう言葉には出来ません。


・・全てが終った時には頭がジーンと痺れていました。そしてその痺れは、今こうやってキーボードを叩いている時も続いています。


一番最後に出てくるあのCGが・・もうなんつうか・・なんつうか・・一気に感情が爆発した・・。孝之、慎二、水月、遙。君たちの友情は、永遠だよ。


正に筆舌に尽くしがたいとはこの事。素晴らしい脚本でした。


最後にこのシナリオの評価を簡単にしたいと思います。


・・私の評価って、大体クリア後に受けた余韻で測っているんですよ。ですからそれがハッピーエンドであろうがアンハッピーエンドであろうが関係ないのです。


当ギャルゲーコーナーのランキングを見ても分かる通り今までの1位はEVE。その他にもDESIREやリフレインブルーなど悲劇的な結末を迎える作品が上位を占めています。


私はまだこの君が望む永遠を全て終らせた訳ではないのでここで最終的な評価を下すことは出来ませんが、少なくともこの遥シナリオが今までの中で最も素晴らしいハッピーエンドであった、それだけはここで言う事が出来ます。


次は水月に特攻します。終わり次第、すぐに感想をアップする予定です。





ああ




ダメだ

もっとテンションを上げていかないと。

続く

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