君が望む永遠 「総合評価」


さて。ようやく君が望む永遠の総評です。

ここではそれぞれの項目をSS,S,A,B,C,D,Eの順で評価していきます。
SSが最高、Eが最低、Cが合格点てな感じです。ではまず、音楽から。


■音楽■



その存在を主張する、耳に残る曲が多い。喜怒哀楽、プレイヤーの様々な感情を大きく揺さぶり、シナリオの感動をより大きなものにしてくれる。素晴らしい名曲揃いですが、特に印象に残ったのが「誰にでもある明日」「願い」。この二曲は私が本当に嬉しくなったシーンでかかった曲。私のゲーム史で忘れられない曲になりました。聞くだけでそのシーンが目に浮かぶ曲なんてそうはありませんよね。


そして何と言っても特筆すべきがOPソングの「Rumbling hearts」とEDソングの「君が望む永遠」


「Rumbling hearts」はヒロインの一人、涼宮 遙の気持ちを歌った曲。普通に聞く分だとカッコいい歌・・で済むのだが、「あれ」を見た後に聞くと遙のその想いに胸が詰まる。


「君が望む永遠」はもう一人のヒロイン、速瀬 水月の遙END後の気持ちを歌った曲だと思う。優しいメロディーの中に孝之への気持ちと今回の事で水月が学んだ事を詩にありったけ乗せた、何ともあったけー歌です。




誰もが荷物 抱えてると知ったときから
あたたかい気持ちが 芽生え始めた





・・素晴らしい。でもそれに気付く事の出来る人間の、なんと少ない事よ。




ずっと忘れない 一途な想いを
迷わずくれた ありがとう、ごめんね





「ごめん」・・だなんて・・(さめざめ)




なんて静かに 過ぎていく日々 
いつしか 想いは 届きますか?





届くよっ 絶対届くよっ 




う・・うお・・み・・つき。モウ…ダメダ…








あなたに会えた 丘の上 星が降る
・・








ToTはわわわわ・・



  水
  月
  ッ
  超
  愛
  し
  て
  る
  っ




一日一回歌うのは水月スキーの義務。
歌いながら涙ぐむのはもはや必然。

音楽は最高評価のSS。


■演出■



ノベルゲームでここまでの事をやってしまった作品も無いでしょう。アージュさん、やってくれましたねえ・・


まずキャラクターの個性を上手く画面上で表現した事。とにかく通常画面で動きまくる。


孝之に近づいたり離れたり・・
左右に動いて動揺を表現したり・・
表情をコロコロ変えてそのキャラクターの心情の動きを表現したり・・
AとBの会話に第三者のCやDが笑ったり怒ったり驚いたり呆れたり・・



と、テキストに現われない表現が凄まじいです。とにかくキャラクターを生き生きとしたものにしている。


それと二章オープニング時の演出には誰もが驚かされたでしょうね。あまりの衝撃と「信じられない」という思いで眩暈がした。歌が入るタイミングや画面効果、それになんと言っても驚いたのがあの「声の演出」。OOO越しの声ですね。これも忘れられないシーンになりそうだ。


エンディングの演出(私の場合遙と水月ルートのものに限る)は、もうなんて言って表現したらいいのか分かりません。言葉も無いです。ただただ感服。


演出も最高評価のSS。



■キャラクター■


来ましたね。本作の一番根幹になる部分だと私は思っております。サブキャラクターも確かに素晴らしいが、やはり主要人物である孝之、遙、水月、慎二、茜の5人がとても人間臭くて魅力的。キャラクターにリアリティーがあるだけにその悩みや葛藤、軋轢もまたリアルで、プレイしていて辛い気持ちになる。感情移入の度合いが半端じゃないんですね。だから私はあそこまで感動出来たのだと思います。


ここも最高評価のSS・・・と、行きたいところですが。


一人、未だかつて無かったくらいに凄まじく入れ込んでしまったキャラクターがいるんですよ。


速瀬 水月ですな。ええ、ええ、分かっています。彼女は「色々」ありましたもんね。確かに許せない行動もあるにはあった。弱い所もたくさん見せてしまった。でもこの気持ちばかりは理屈じゃない。


もう、萌えもなにもかも吹き飛びました。


はっきり言いましょう。





愛です。




水月に対するこの感情は、もはや愛ってやつです。




水月、色々なところで叩かれてますね。




「あの行動だけは、どうしても許す事が出来ない」


「吐き気がするほど水月がキライ」


「お前、邪魔なんだよ」


「遙とは人間のレベルが雲泥」


「水月、ウザイ」








心 が 張 り 裂 け そ う だ よ パ パ ン 。




まるで自分の恋人に対する陰口を聞いてしまった時のよう。



嗚呼。



こんな感情は初めてだ。


焦った。だってこんな事初めてなんだもん。ギャルゲー歴10年。エロゲー歴2年弱。決して短いとはいえないこの歴史の中で、初めて芽生えたこの感情。そんな速瀬水月に愛情の念を込め、キャラクター評価はSSを飛び越え新たな領域へ。




評価はSSS、トリプルSだ。


■H■


これはどうなんでしょう。私の場合はシナリオが気になってソレどころじゃ無かったもんで。CGは大人しい感じがしたし文章やシチュエーションにもあまりソソルものが無かったような。

評価はD。


■萌え■



私にとっての萌えとはとにかくギャーギャー騒ぐ事。そういう意味で萌えたのは茜のみ。遙と水月はそういったものを超越した感じがします。

・・どう言ったら良いのか分からん!評価はB・・かな?(だが一章のリプレイで遙の新たなイベントを発見。結局評価はAに。)


■笑い■


これも難しいな(笑)まあ・・遙伝説は必見とだけ言っておきましょうか。

評価はA。


■涙■


色んな種類の涙を流しました。こんなにプレイヤーの感情を揺さぶるゲームはそうは無いでしょう。


SS。

■システム■



文章スキップは速度も良好で既読、未読判別あり。セーブ個所は少なくとも100以上、その他細かい設定が可能と至れり尽くせり文句なし。


これもSS。


■シナリオ■


展開の整合性が取れてない所が2,3箇所あった。まあ、大事な場面では無かったのが幸いしたが・・なまじシナリオのレベルが高かっただけに惜しい気がする。


あとシナリオの重複が多い。同じ所を何回もスキップで飛ばさないといけないのが少々ではあるけれど気になる。あとクリア時間が異様に長い。私のやった感じだとファーストプレイで約15時間。二回目以降からスキップ短縮して約6〜8時間、総計60〜70時間といったところか。メインの遙と水月のシナリオ以外は正直、途中でダレましたね。私にとっては最初の25時間がピークでした。そしてマナマナもある意味ピークだった。


シナリオ内容はかなり人を選ぶと思う。間違っても万人向けとは言い難い。話の内容がとにかく

重い

ので途中で疲れてしまった方もいるんじゃないですかね。底抜けに明るかった一章とのギャップがまた何とも。私も辛かったですよ。初回プレイ時は苦しさの余り胸に手を当てながらプレイしていましたから。逆に言えば、それだけプレイヤーに訴えかけるものがある稀有なシナリオだとする事が出来ますね。とにかく洒落にならないほど切ないし、泣けます。


そして辛い思いをした分だけ、最後には大きな感動が待っている。
もう感情爆発。水月のとこでも書いたが作り物で嬉しくて泣けたのはこの作品が初めて。今までに無い感動だった。なんつうか心が暖かいよ。もうホカホカ。誰にでも優しくしたくなるね。それこそ、悲しみに暮れる友人が傍に居ようもんならそっと頭撫でる位の優しさを見せるよ、今の私なら。


まあそれは冗談にしても、今自分の傍にいてくれる人間を心から大事にしよう、それは本気で思った。この世知辛い御時世、いつ何時不幸が訪れるか分からないですからね、悔いだけは残さないようにその時その時の触れ合いを大事にしたい。そんな事を感じさせるシナリオだ。万人向けではないが、是非多くの人にプレイしていただきたい。心底そう思いますな。


この作品のテーマは結局何だったのでしょう?別れ?恋愛?人間?情?本当の優しさ?いやいや、もう一つありますね。クリアした人なら分かりますよね。そしてそれがそのまま、「君が望む永遠」というタイトルの回答にもなっている訳ですね。凄いね。いや、こりゃ本当に凄いよ。


評価は問答無用でトリプルS。




それでは最後に・・


まずはこの作品に出会えた自分の強運に感謝。ネット上でこの作品の存在を知った時は丁度ギャルゲーに対する興味が薄れかかっていた時でした。タイミングが悪ければそのまま放って置いてしまった可能性もあった。でもその時にこの作品に興味を持つ事が出来て良かった。本当に良かった。その時の自分の直感を信じて、本当に良かったと心の底から思っております。アージュさん、素晴らしい作品を有難うございました。この作品に出会えた事をアージュさんと、出会いの神に(いれば)感謝したい。





最高のヒロイン、最高のシナリオ、最高の教訓。君が望む永遠はゲームだけに止まらず、私が今までに触れてきた全ての物語を超えました。






キャラクター:SSS シナリオ:SSS

システム:SS 音楽:SS
演出:SS 萌え:A
笑い:A 涙:SS H度:D 

総合評価:SSS 



いやあ、すこぶる長文でしたね・・しかも読みにくいし。ゴメンナサイ。そして全部読んでくだすった方、有難うございました。

・・さあ、張り切って二週目・・行きますか!


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