ギャルゲーヒストリー第四夜 『EVE burst error』 さて、セガサターンを購入した事によって私のゲーム生活に大きな変化が訪れます。プレイステーションは殆ど稼動しなくなり、以後手にするゲームはほとんどサターンのものばかりになるようになる。 その中でも『ドラゴンフォース』や『ラングリッサー』、『デッドオアアライブ』、『バーチャーファイター』、『ルナシルバースターストーリー』、『同エターナルブルー』、『デビルサマナーソウルハッカーズ』、『グランディア』、『街』はとても優秀なソフトで印象に残っているし、特に野球ゲームの『グレイテストナイン』とサッカークラブ経営シュミレーションゲームの『Jリーグプロサッカーチームを作ろう』は、もうどれだけ時間を費やしたか覚えてないほど熱中して遊んだ。 それは勿論ギャルゲーも一緒。これから紹介する 『EVE burst error』 『DESIRE〜背徳の螺旋〜』 『この世の果てで恋を唄う少女〜YU−NO〜』 これらのシナリオの衝撃的な面白さはそれまで「萌え一辺倒」であった私の好みを「シナリオ最重視、萌えは二の次」と180度転換させるまでの影響力を持つほどでした。 この三作をプロデュースしたのがギャルゲー業界屈指の天才クリエイターと名高い剣乃ひろゆき氏(現・管野ひろゆき)です。彼はまず18禁ソフトハウスであるシーズウェアの初期スタッフとしてゲーム業界にデビューしました。 同社の二作目である『悦楽の学園』で初めてシナリオを担当してこれをヒットさせると、次作の『DESIRE〜背徳の螺旋〜』でブレイク。マルチサイトシステムという斬新なゲームシステムと、心に残るシナリオは七年経った今でも尚ユーザーに高い評価を得ています。その後『XENON』というヒット作を挟み、そして『EVE burst error』を世に送り出す事になる。 これが大ブレイク。95年発売というから、丁度エルフの同級生2と同時期ですね。同級生2の空前の大ヒットによって18禁パソコンゲームのユーザーが爆発的に増殖した後でしたから、リリースのタイミングとしては完璧でした。このEVEによって、剣乃ひろゆきはパソコンゲーマーに知らない者はいない、というくらいの名声を得るのであります。 シーズウェアはEVEの大成功により本作のコンシューマーへの移植を決定。パソコンソフト業界で一躍名を馳せたこの名作は、果たして家庭用ゲーム業界でも通用するのか・・・ そして1997年。シーズウェアは老舗のイマジニアをスポンサーに迎え、EVE burst errorをセガサターン用ソフトとして発売。これが20万本を越す大ヒットとなり、こうして剣乃ひろゆきの名はサターンユーザーにも広く轟く事になるのでした。 さて、パソコンゲーム業界のパの字も知らない当時の私がその名作の存在を知る訳も無く、以前と同じようにギャルゲーを見境無く漁る毎日。そんな折、私がこのEVEサターン版を手に取ったのはほんの気紛れでした。 忘れもしない、あれは97年夏。私は大学の帰宅時に秋葉原のメッセサンOー二号店に立ち寄り、数多くあるサターン用ソフト群から本作を抜き取った。ジャケット表には銃を構えた長髪の男と女性警官が左右に、そして中央には金髪の少女と栗色の髪の毛の少女が描かれている。 第一印象はとりあえず、この女警官かっこいいな・・ぐらいのものだった。次いで裏を見る。 連続猟奇殺人事件の謎。 迫る猟奇殺人犯。禁断のサイコスリラー。 マルチサイトシステムが明かし出す驚愕の真実とは!? ふーん。 と大した興味も示さず、その時は売り場に一旦戻した。萌え萌えなゲームを探していた当時の私にはこのコピーからは魅力を感じ取れなかったらしい。嗚呼、なんと罰当りな。 その後も色々と物色したが、なかなか良さげなゲームが見つからない。そのまま帰っても良かったのだが、せっかく来たのだから何か買っていかないと気が済まないとかそんな軽い気持ちで先程手に取った本作を購入、さして期待もせずに家路についたのでした。そして数日後・・・ 木っ端微塵に叩きのめされた私がそこにいましたよ。 ええ、そりゃもう徹底的にやられました、あの結末には。 私もONEやリフレインブルー、君が望む永遠など今まで数多くの泣きゲーをこなしてきましたが、思えば本作が初めての泣きゲーだったんですね。 まさか、自分がゲームで泣くなんて思いも寄らなかった。小説やドラマ、映画・・いや、現実でも泣くなんて事はそうそう無かったこの私がまさか、テレビゲームで泣くなんて。数年ぶりの涙を、まさかテレビゲームで流すなんてと、あの時は自分が自分で信じられませんでした。クリア後はもう何日も何日も憑依していましたよ。 だって、最後にあんなの見せられたらにっちもさっちもいかずに泣くって普通。 普通の感受性を持っていて日本語が理解出来る人間なら、これは100%泣けるってば。 ねえみなさん、そうでしょう?(泣き虫の戯言とお見逃しを。) 俺はぜってー泣かねーよと言う方、是非チャレンジを。 以後、思い切り泣く事の快感を覚えた私は更なる泣きゲーを求めるようになる。それまでは「ときめきメモリアルの萌え」を超えるゲームを求めていた。しかしこの時より、私はこの「EVE burst errorの感動」を超える作品を求めるようになったのだ! に「よう、何かエラく一人で盛り上がっているじゃないか と「お、おー!その声はッ 「久し振りだな、とも。 と「に、兄やん!! 注:に・・兄やん。管理人的友人。共通の知人、子分氏を介して出会った私と彼はEVE、DESIRE、YUーNOの剣乃三部作の話題で瞬時に意気投合。私の良きギャルゲー仲間である。EVEの麻弥子大好き。YU−NOのセーレス大好き。カノンの栞大好き。君望の遙大好き。 に「バースト・エラーか・・思いで深きゲームだな。 と「そうだね・・忘れられないゲームだよね・・。いや、忘れてはならない・・忘れ、られない・・ に「ふ・・相変わらずだな、とも。だがそれは狂おしいほどに同感だ。俺はこの先どんな素晴らしいゲームをプレイしても、あの時の衝撃を超えるものは出ないと確信している。あれこそ、ベストだ。ベスト・オブ・ベストだ。アンフォゲッタブルだ。 と「ああ、そうだ。俺もアレは忘れられない。 に「思い出すな・・数々の名シーン。 と「おう、いつでも思い出せるぜ。 に「とも、お前の一番印象に残っているシーンは? 注意!!これより、ネタバレになる所は伏せます。 と「ラストだ。麻弥子が最後、海に飲み込まれていくところだ。 に「お約束だな。 と「そういう兄やんは? に「・・・同じ所だ。 と「・・・。 に「・・・。 と「ま、あれは別格だよな。 に「そうだな・・じゃあ、二番目は? と「犯人入力するところ。一回目の入力はみんな絶対間違えるじゃん。でその後に流れるエピローグを見た後に二回目入力する所。もう悔しくて悔しくてしょうがなかったよ。 に「あー、あれな!わかるわかる!ストールマン孔以外の殺人犯は麻弥子だからな。あれ一つずつ『御堂麻弥子』と入力する所は辛かったよ・・ と「そうそう、そうなんだよー。んで正解して真のエピローグ終わった後の雪が舞う中でのスタッフロール。目に焼きついているねー、もう離れないねー。 に「その前に出てくるCGもな。あの小次郎とまりなとプリシアと麻弥子が4人で写ってる写真。あれもくるよな。 と「もういつでも脳内再生可能です。あれさあ、麻弥子とプリシアが肩抱き合っているんだよね。。は〜あ(涙 に「でもあれも、麻弥子が見ている夢なのかなぁ・・ と「・・・くッ 切なくなる事を言うんじゃないっ に「でもな・・次作のLOST ONEではあんな最期だったし。 と「無かった事にしよう、もうアレは。 に「はは・・お前はアレをburst errorの続編とは認めていない、と。 と「いや・・そういうわけじゃないんだけどな・・結構中盤までは面白かったし。惜しいよね、あれで麻弥子の扱いがあんなに悪くなければさ・・。 に「悪口はそこまでにしておこう。話しを戻すけど、例のハッキングシーンも見ものだったよな。 と「はいはい!まりなと小次郎、恭子が協力して内調のデータベースに侵入するところね。あれは熱かった。まずまりなが本部長のパソコンのログインパスワードを解除する所。 に「法条まりなの洞察力には恐れ入るね。呆気なく解いちゃったもんな。まあ本部長のヒントもあるにはあったけど。 と「そんでその後まりなが小次郎と恭子の不正アクセスに気づく訳だ。ここで普通なら糾弾する所を・・まりなは二人の協力要請を受諾してしまう!うーん、目的の為には手段を選ばない女・・法条まりな、恐るべし。 に「そして双方協力のハッキングが始まる。ここからがマルチサイトシステムの本領発揮よ! と「こっから攻略が難しくなるんだよね・・。フラグを立てるのに四苦八苦。先に進みたいのに進めない・・正にジレンマ。 に「そうして苦労して最期までフラグを立てた時の快感と言ったら・・ と「ジジジジ・・とログファイルが流れてきた瞬間は、 もう全身鳥肌でした。熱いぜ・・熱いぜエインジ。 に「そのログファイルで、EVEの根幹を成すCプロジェクトの全貌がおぼろげながら見えてくるわけだ。 と「ここからが話が急速に面白くなるね。まずはプリンの正体発覚。 に「小次郎とプリンがプリンセスホテルに向うところね。ホテル最上階のVIPルーム。広い部屋の中には一脚の椅子のみ、そしてその椅子に座る女。でもその女は人形だった。 と「え〜、その時私、ビックリしすぎて死にそうになりました。ダ〜〜〜〜〜ン!!と人形がアップになるでしょ?ヒ・ヒィー!って。怖かったんだよ、あの表情無い人形が! に「ははは。じゃあプリンがエルディア女王だと分かった時はどうだったの? と「あんぐり。 に「ビックリしたと。 と「でその後銃撃戦となり、小次郎は情報部に捕まってしまう。 に「そして、忘れてはならないのが茜の拉致事件。 と「ズキッ に「そしてディーブによる暴行。 と「ズキズキッ に「・・そうだ。今日、お前にいいモノ持ってきてやったんだよ。 と「え・・?なに? に「ジャーン!『EVE burst error 原画集&設定資料集』!しかもPC98版の!! と「おーー!!PC版のHシーンはこうなっていたのかーっ! に「まあ、ずらーっと見ていけよ。 と「ふむふむ・・なるほどなるほど・・うーむ、それにしてもシリアの乳は殺人的だな・・正に魔乳。 に「ホレホレ。手が止まっているぞ? と「お・おう。じゃあずらーーーっと・・・・・・・ゲェ!? に「とも、どうちたのー? と「あ、茜の暴行シーンがァ・・・・・・グァ・・・・・・・・ に「・・・お、おい、とも? と「ディ、ディーーーーーブ・・てめえ、俺の茜にこんな事してやがったのかァァァァァァァァァアアアアァァァアアァァアァ・・ に「・・・。(こ・こんなにぶっ壊れるとは思っていなかった。 と「いでででででで・・ に「わ・悪かった、とも。さあ、これはもう仕舞うかr と「テメエ!俺がこういう暴行まがいの事嫌いだって知ってて・・・ッ! に「だ、だから悪かった。(・・その割には螺旋回廊好きじゃないか。) と「茜〜〜〜ッ茜、茜、ッッ! に「落ち着け!ほら、茜はその後小次郎に助けられるだろうが! と「う・・そうだけど、そうだけどさ、これじゃあまりに茜が可哀相で、可哀相で! に「大丈夫だ・・ほら、大丈夫だから・・ と「ふぅ、ふぅ、ふぅ に「大丈夫だ・・大丈夫だ・・な? と「ああ・・・・。 に「フ――、落ち着いたか? と「にしてもこれは辛いな・・サターン版でも結構ショックだったのに・・ に「ああ、あれはショックだった。 と「怒り心頭・・今までのゲームの中で、吐き気を催すほど怒ったのはこのシーンとユーノの「あのシーン」だけ。このディーブはユーノの豊臣と並んで最悪の悪役だな・・ に「そうだな・・。でも、さっきも言ったけど茜はこの後小次郎に助けられるから、救いはあるじゃない。それに倉庫の事務所で、茜が薬の副作用で苦しむ小次郎を救うシーン。 と「あれはね・・もう感動の極致でした。もしあそこに茜がいなかったら、いかに豪胆な小次郎とは言え発狂死していたよ。あの茜の献身があったからこそ、小次郎は「生還」出来た訳だ。母性だね、母性だね。 に「『大丈夫だヨ・・大丈夫だヨ、小次郎・・』って、小次郎にずっと囁き続けるんだよな(泣) と「あーうー(涙) に「さあ、この後舞台はいよいよトリスタン号に移るわけだけど・・・。 と「まりなの査問、国璽の紛失、プリシアとアクアの会談、まりなと小次郎の推理合戦、婚約騒動、新たな殺人、戴冠式、御堂死亡、桂木死亡、シリア死亡、閉じ込められた船倉・・怒涛だよね。 に「そして麻弥子が・・。 『笑ってよ・・ねえ、笑って・・?そうしたら私、幸せになれる。生まれてきた、意味がある・・』 と「もう、耳にこびりついて離れないよ・・ に「エルディアの悪しき計画は、この麻弥子の死によって頓挫するわけだ・・。 と「・・・。 に「・・・。 と「・・・。 に「・・・。 と「・・・。(涙) に「・・・。(涙) と「EVE burst error・・・ 言い換えれば、『EVE burth terror』、か・・・。 に「タイトルにまでギミックを用いるなんて、剣乃さん・・あんた、やっぱり天才だよ・・。 と「・・・。 に「・・・。 と「・・・。 に「・・・。 と「・・・。(呆) に「・・・。(呆) と「何か切なくなってきちゃったから、今日はもう帰る。(麻弥子・・・麻弥子、麻弥子、麻弥子ッ) に「俺も、帰るわ・・。(麻弥子・・キミは今、一体・・・) 続く 次回予告:DESIRE、YU−NO(こんどこそ) |